今日はチョットお固い話。ダーウィンの進化論はよくご存知でしょうが、あれだけでは全てを説明出来ないという事は、僕のような素人でも気がつくこと。最近は学者の間で論議されています。
進化論の柱は二つあります。
①突然変異
②適者生存
両方とも必要な因子であることは言うまでもありませんが、それだけでは説明できない。 よく使われる「キリンの首」を例にとってみましょう。
高い梢の葉を食むうちにチョット首が伸びた。というより「突然変異」で首が長くなった。 それが生存競争に有利なため、その子孫が増えた。
②は何となく納得出来ますが、①はどうでしょう?
突然変異がランダムなものとしたら、そんな都合良く首の長くなる遺伝子が1品種に続けて発現してくれるでしょうか?
また、もし「ある個体」が環境に適応して、チョット首が長くなったとしても、それは一代限りのことです。これが子孫に伝わって蓄積されには「獲得形質の遺伝」が必要になりますが、これはありえないとされてきました。
70年ほど前、ソビエトのルイセンコと言う学者が、体制におもねって「獲得形質の遺伝」を唱えました。これは遺伝子が人の将来を決定し、それに介入出来ないと言うのはスターリンにとってありがたくなかったからです。これはすぐでっち上げと言う事が分かりました。何時の時代にも研究費目当てのイカサマはいるものですね。
だが最近、エピジェネティックと言う概念や、RNAの働きに関して新たな治験が発表され、環境因子が遺伝子を修飾し、生殖細胞を通じて子に伝えうるのではないか、と言われ始めました。
この「Arrival of the fittest」には、その最新情報が満載されています。
この新たな分野「進化論的生物学」の進歩の目覚ましさにすっかり興奮し、せっかく下がりかけた熱がまたぶり返すのでは、と心配するほどです。
題名が「Survival of the fittest(適者生存)」に掛けたものであることはお分かりでしょう。
北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 ウィメンズヘルスクリニック東京 名誉院長