男性の第一印象は、顔の横幅が影響する

男性の第一印象は、顔の横幅が影響する 魅力のナゾを科学する

人は見かけによるときと、よらないときがあります。

   人の能力や価値の判断材料として、「見た目」が影響することはよくあります。よく「人の価値のほとんどが見た目で決まる」とか「見た目で人生が決まる」などと言われることがありますが、それは本当に正しいのでしょうか。

   心理学の観点から見ると、そのような見た目主義の考えは、少しは当たっているけれど、ほとんどは思い込みだと考えられています。

   今、私たちに必要なのは「見た目を養う」のと同時に、「見る目を養う」ことです。このコラムでは心理学などの科学研究の例を紹介しながら、人の外見的な印象や魅力が顔や身体のどのような特徴によるものか、また、心や脳の仕組みによってどのように感じられるのかについて、明らかにしていきます。

   今回紹介するのは、人は見かけによる例で、顔つきにその人の内面が表れるという研究です。

男らしい印象の人は男性ホルモンが高い

   顔つきは、遺伝的な特徴や思春期(第2次成長期)に分泌されるホルモン量などが影響すると言われています。

   特に、男性は、男性ホルモンの代表であるテストステロンが作用することで、頬骨や下顎、眉弓(眉毛の下に広がる額下の骨)が張りだしたり、ヒゲが濃くなったりして男性らしい顔つき体つきになっていきます[1]。テストステロンの影響が強くなると、顔の横幅がより広くなりがちです。その指標となるのは、顔の横幅と高さの比(facial width-to-height ratio: fWHR)です(図1)。

   fWHRが大きい男性は、男らしい印象がより強くなります。そして、がっしりとした体つきになる傾向も高くなります。心理的には、テストステロンの影響が強い男性は、目標に向かって頑張ったり、仲間に対して積極的に関わったり、さらには仲間のために自己犠牲もいとわない、などのポジティブな側面があります[2]。

「成功しそう」だが「支配的・暴力的」とも見られる

   企業の経営者は、fWHRが大きい人が多く、その人物についてまったく知らない人からでも、見た目だけで成功するであろう、とか支配的だという印象をもたれる傾向にあります[3]。

   その一方で、顔の横幅が相対的に広くなることは、攻撃性がより高くなる傾向を示すという研究結果もあります。

   例えば、カナダのブロック大学のキャレらの研究では、37名の男性に写真のモデルになってもらい、写真だけでどの程度攻撃的な人物に見えるかを、男女あわせて30名程度の観察者に評定してもらいました。そうすると顔の横と縦の比(fWHR)が大きい人ほど攻撃的に感じられたのです。

   それは、顔写真を1分の25秒というほんの一瞬見ただけでも、同じ結果が出ました [4]。

   さらに面白いことに、モデルになってもらった人に攻撃性が測定できる心理学的なアンケートに答えてもらった結果、観察者から攻撃的だと思われた人は、実際、アンケートでも攻撃性が高い傾向にあることが分かったのです。

   ただし、この傾向はあくまでも統計によるものなので、顔の横幅が広い人がすべて暴力的な人物だと断定するものではありません。

   これは、現代版の骨相学や人相学とでもいいましょうか。パーソナリティのある限定された心理的特徴は、その人の顔や身体といった物理的特徴に現れる、ということが分かってきました。

   「見る目を養う」ためには、男性の第一印象は、顔の幅が影響することを覚えておきましょう。

[執筆:川畑秀明 慶應義塾大学文学部心理学准教授]

かわばた・ひであき/専門は感性⼼理学、認知神経科学。主観性と経験価値の⼼理とその脳メカニズムを研究し、主に、芸術、美、魅⼒、ユーザー・エクスペリエンス、デザイン、ユーザビリティ、感性教育、鑑賞⾏動の解明に努める。ヒトの主観はあいまいで非常に影響を受けやすいため、その影響の関係や因果性に関する⼼と脳の働きを明らかにし、応⽤研究に活かす。著書に『脳は美をどう感じるか―アートの脳科学』(ちくま新書)がある。

医師・専門家が監修「Aging Style」

補足・参考文献
[1]男性ではテストステロンのほとんどが精巣で作られ、性機能だけでなく脳や骨格、内臓など身体の多くの部位に作用します。男性では、テストステロンが低下すると性欲低下などの性機能症状や、ほてりや腰痛などの身体症状、さらにはうつ症状などの心理症状があらわれることがあります。また、女性においても卵巣で男性の約20分の1程度のテストステロンが作られており、女性においても無視できないものとなっています。
[2]Lewis, G. J., Lefevre, C. E., & Bates, T. C. (2012). Facial width-to-height ratio predicts achievement drive in US presidents. Personality and Individual Differences, 52(7), 855-857.
Stirrat, M., & Perrett, D. I. (2012). Face Structure Predicts Cooperation: Men With Wider Faces Are More Generous to Their In-Group When Out-Group Competition Is Salient. Psychological science, 0956797611435133.
[3]Alrajih, S., & Ward, J. (2014). Increased facial width-to-height ratio and perceived dominance in the faces of the UK’s leading business leaders. British Journal of Psychology, 105(2), 153-161.
[4]Carré, J. M., McCormick, C. M., & Mondloch, C. J. (2009). Facial structure is a reliable cue of aggressive behavior. Psychological Science, 20(10), 1194-1198.

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