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4月2日:ビタミンCによるガン治療(4月10日号Cancer Cell掲載論文)

   ビタミンCはその強い還元能力で体の活性酸素を抑えて、細胞を守ることで、老化を防止し、美容やがんの発生に役にたつと思っている人は多い。いかがわしいトクホが横行する中で、ビタミンC飲料は間違いなく効果が確かめられた飲料と言っていいだろう。中でも、風邪に効果があると思っている人は多いはずだ。先週Nutrientという雑誌に発表されたフィンランドのHemilaという研究者の総説によると、1日6−8gという大量のビタミンCを服用すれば確かに症状の出る期間を短縮できることはまちがいないようなので、風邪にかかったら安心して、しかし大量に飲めばいい。

   ただ、もしビタミンCが細胞を酸化ストレスから守ってくれているなら、同じようにガン細胞もビタミンCに守られることになる。しかしガンの放射線や化学療法を補助する意味でビタミンCの点滴を行っているグループがあるが、これはガンを助けてしまわないのかと心配になる。

   これに対し今日紹介するアイオワ大学のグループは、モデル実験と実際の治験を組み合わせた研究を行い、大量のビタミンC投与ががん細胞を選択的に叩くことを明らかにし、4月10日発行予定のCancer Cellに発表した。タイトルは「O2・- and H2O2-mediated disruption of fe metabolism causes the differential susceptibility of NSCLC and GBM cells to pharmacological ascorbate(スーパーオキシドアニオンラジカルや過酸化水素を介する鉄代謝の崩壊がビタミンCに対する非小細胞性肺がんとやグリオブラストーマ細胞の感受性を特異的にあげる)」だ。

   この研究では肺がん細胞(NSCLC)やグリオブラストーマ(GBM)細胞をビタミンCと培養すると、正常細胞と比べがん細胞の細胞死が強く誘導されること、またマウスに人ガンを移植してシスプラチンと放射線で治療するときビタミンCを投与するとマウスの生存に高い効果があるという結果を説明するため、ビタミンCのこれらの細胞の効果について生化学的に解析している。

   詳細は省くが結果を要約すると以下のようにまとめられる。

   ガンではフリーの鉄レベルが上昇しており、これがビタミンCに働いて酸化を促すことで、さらにフリーの鉄のレベルを上昇させるサイクルが動き始める。こうして上昇を続けるフリー鉄と過酸化水素が反応すると、ハイドロオキシラジカルの産生が上昇し、細胞の複製など様々な過程を障害するというシナリオだ。

   この効果は、ガンでもともと活性酸素やフリー鉄のレベルが上がっているために得られる効果で、この場合はビタミンCが活性酸素を抑えるどころか、逆にそのレベルをあげていることになる。一方、正常細胞ではフリーな鉄のレベルが低いため、細胞障害性はでないことになる。確かにガンに特異的に効果があることを納得した。

   このようにメカニズムを確認した上で、この研究では少人数のガン患者さんに大量のビタミンC投与治験を行い、高い効果が得られることを示している。基礎と臨床を橋渡しした力作だと思う。

   最後に付け加えておくと、ビタミンCは全て点滴で投与しており、なんと60g以上投与する必要がある。とはいえあまり強い副作用は出ないようなので、ぜひもっと多くの患者さんを使った治験が早く進むことを期待する。

[NPO法人オール・アバウト・サイエンス・ジャパン(AASJ) 論文ウォッチ 2017年4月2日より転載]
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