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がん化学療法の副作用に対して患者が抱く不安感 ESMO2017 心理・社会的影響の方が身体的副作用より敏感

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   2017年9月8日から12日までスペイン・マドリードで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、乳がんと卵巣がん患者を対象とする化学療法副作用に関する患者認識調査の分析結果が発表された(Abstract1472P_PR)。

目次
1 乳がんと卵巣がん患者を対象に前回調査をアップデートした最新調査~
2 1990年代までは身体副作用が中心、2000年代に入り心理的影響
乳がんと卵巣がん患者を対象に前回調査をアップデートした最新調査~

   ドイツで1983年から2002年に実施された前回調査をさらに進化させた前向きデザインの最新調査により、化学療法副作用に対する患者の認識や感じ方は明らかに変化していることが分かった。数十年の時間の中で、治療現場での副作用の管理・対処方法が向上したこともあり、吐き気や嘔吐といった身体的な副作用の深刻度は弱まった。その代わり、不眠などの睡眠障害、家族やパートナーへの心配など心理的、社会的な不安感が重くなっていると結論された。

   新調査を実施したドイツKliniken Essen Mitte EvangのBeyhan Ataseven氏らは、化学療法を開始する前の乳がん、卵巣がん患者141例を調査対象者とし、治療開始前、治療開始12週後(±3週)、治療終了時の3時点で、患者自身が選出した身体的、非身体的副作用の中でトップ10に基づき、深刻な症状・状態のトップ5をランク付けした。

   その結果、3時点の調査を完了した解析対象113例において、患者が最も深刻と認識している不安は、すべての時間を通して、家族・パートナーへの心配と睡眠困難(不眠)であった。いずれも調査の3時点で1位または2位に入り、治療開始前の2位が治療への対処喪失感による不安であった。

1990年代までは身体副作用が中心、2000年代に入り心理的影響

   前回調査のランキングでの1位は、1983年は嘔吐、1993年は吐き気、2002年は家族・パートナーへの影響であった。

   今回浮き彫りになった睡眠の問題についてAtaseven氏は、「がんの発症と治療が家族やパートナーに負担になり得るという患者自身の不安の表れ」と解釈している。従来はがんの通常治療の範疇には入っていなかった睡眠導入剤の処方などを例に挙げ、社会的不安感や家族に関する不安への心理的サポートの必要性を語った。

   ESMO当局では、がんの診断から治療経過を通しての総合的なサポートや緩和ケアについて、すぐにでも方針説明書が必要との認識を示した。同時に、副作用管理の最適化のため、今後は乳がんや卵巣がん以外のがん患者を対象とする同様の調査の必要性を示した。
Patients Feel Psycho-social Impact of Chemo More Acutely Than Physical Side Effects(ESMO 2017 Press Release)

医療ライター 川又 総江
国内製薬企業研究所研究員、大学医学部研究室助手を経てフリーのメディカルライターに転身。医薬・バイオ関連出版社等の文献翻訳、医療記事作成を執筆すること20年。

この記事に利益相反はありません。

[がん情報サイト「オンコロ」2017年10月11日より転載]
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