美容医療 知っていますか? 機器の進歩と未来 宮田成章先生(みやた形成外科・皮ふクリニック院長)

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   いま、美容医療界では、レーザー、赤外線、高周波、超音波などの特性を利用したメスを使わない治療法が主流となり、複数台の機器を導入する医師やクリニックも多くあります。治療の幅も脱毛、シミ、シワ、たるみや脂肪溶解などへと広がっています。今回は、形成外科・美容外科専門で、美容医療機器に詳しい宮田成章医師に話を聞きました。宮田医師のクリニックには、レーザーのほか、高周波、超音波を使った機器など、計40台以上が導入されている。

塩谷 今、美容医療ではさまざまな照射機器が使われています。最初に医療用として登場したのは、1960年代のレーザーでした。先生はいつごろからレーザーを使って治療をしていましたか。

宮田 20数年ほど前になります。防衛医大の形成外科にいたころから、レーザー治療の経験をさせてもらっています。

塩谷 そのときのターゲットは?

宮田 血管腫に限られていました。ただ、その当時は、機器が巨大で扱いにくく、レーザーの種類も少なかったので、あまり興味がなかったですね。オペ(手術)の方が好きでした。

塩谷 では、なにがきっかけで興味を持ったのですか?

宮田 室蘭総合病院に形成外科が新設されて間もないころ、レーザー機器の導入などに携わり、これは面白そうだと。

塩谷 機械に興味があったから? それとも治療としての興味があったのでしょうか。

宮田 両方です。そもそも、僕が形成外科を選んだ理由は、マイクロサージャリーがやりたかったからなのですが、それは、手術というよりも新しい医療機器や技術に取り組みたいと思っていたからでした。
室蘭にいたころ、ダイレーザーは血管腫だけでなくイボの手術にも役立つという論文を読みました。それがきっかけで、自分でも新しい治療プロトコールを模索し、ひとつの論文にまとめたんです。そこから、もっといろいろな治療に使えるかもしれないとレーザー機器の面白さに目覚めました。

美容医療の発展とレーザー

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塩谷 そのころ、今のように美容医療でレーザーがこんなにももてはやされると思っていましたか?

宮田 そう思っていました。僕はレーザー治療が主流になる時代がかならず来ると思って、東京に出てきたとき、メスをメインにしなくても仕事ができると確信していました。

塩谷 なぜそう思われたのですか?

宮田 東京に来た2000年は、レーザー脱毛機器が多く出始めたころです。その当時は、レーザー機器でできるのは、脱毛か、ほくろやシミとりくらいでしたが、脱毛ができるのなら、これからは他のこともできるようになるはず、と思っていました。

塩谷 レーザー脱毛機器が登場したころには、他の皮膚にも毛細血管レベルで長期的な影響、例えば皮膚の萎縮等があるのではと言われていて、医学会でも議論が繰り返されていましたが、今、実際にはどうなんですか。

宮田 登場して20年。とくにトラブルは聞いていません。むしろ、萎縮というよりは、熱で肌の細胞を壊して作り直すという面で、シミ、シワ治療に効果があるとして注目されています。メカニズムはまだわかっていませんが、レーザー脱毛器は、設定を変えてシミ取り用レーザーとしても使われています。

塩谷 レーザー機器の特長は?

宮田 皮膚の質を変えられることです。外科的な治療は皮膚のたるみをとることはできますが、リジュビネイト(回復・活性化)させることはできません。

塩谷 逆に、レーザー機器ではカバーできない点は。

宮田 皮膚の深部、骨や脂肪は治療できません。注入剤や脂肪吸引でコントロールしていかなくてはなりません。 患者さんの負担が少ないやり方で、レーザーだけでなく、いろいろな治療法を組み合わせて治療をします。たとえば、たるみの治療で他院ではいろいろな機器を試しても効果がでなかったという患者さんが来院したときは、骨の萎縮が原因でレーザーなどの機器治療は向かないと判断し、最初に真皮の構造を改善するために注入治療を勧めました。

塩谷 その場合、注入する剤はハイドロキシアパタイト(商品名:レディエッセ)ですか?

宮田 吸収性のレディエッセを使うこともあるし、ヒアルロン酸を使うこともあります。

塩谷 最近は、顔面骨の骨粗鬆症も見た目に影響することがわかって、予防しなくてはいけないということが言われていますね。

宮田 見た目を改善する治療と、これ以上骨の量を減らさない予防的な治療との2通りを患者さんに提案しています。見た目の改善には注入治療、予防的な治療には高周波の機器を使います。肌の深部を加熱し、骨膜につながる毛細血管などの組織を刺激して血流を維持したり、リンパの流れを改善して予防につなげるのです。

新しい治療法はまず自分で試す

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塩谷 クリニックで使う美容医療機器は海外メーカーのものがほとんどですよね。

宮田 そうですね。日本ではレーザー機器の製造・販売は国の認可をとるのが難しいため、国産の機器は非常に少ないです。米国ではFDA(アメリカ食品医薬品局)などの承認機関がありますが、最近は、その認可を得る前に輸入されてくる機器も増えてきました。  認可前の機器は効果を示すデータがないケースもあります。そういう場合は、最新機器のリリースをもらったときに、持てる知識と経験で「これは使えそうだ」と思ったら購入し、自分で試しながらデータを取ることになります。  私の場合は、メーカーさんから依頼されてアジア人での効果を検証する段階から協力することもあります。

塩谷 新しい機器の性能は、どのくらい使うとわかるのでしょうか?

宮田 治療の効果がでるまでの期間にもよりますが、シミやシワ、たるみ用の機器なら1〜2週間くらいでしょうか。自身の経験や感覚で、効果が出る時期より前でもイメージができます。僕は、レーザーでも、注入治療でも、新しい治療法を導入するときは、何でもまずは自分自身で試してみることにしています。

塩谷 先生にとって、レーザー機器の魅力は?

宮田 メカとして面白さがあり、そして、治療に使う上では工学の領域では考えられないような、知られざる能力がまだまだあるのでは、という未知の部分に惹かれます。

塩谷 美容医療において、レーザーは今後も活躍すると思われますか?

宮田 5〜6年前までは、新しい機器の登場で今までできなかった治療ができるようになり、勢いがありましたが、最近は改良モデルが多い印象です。僕は今後、レーザーなどの機器による治療の比率は落ちていくのではないかと思っています。

塩谷 その理由は?

宮田 先ほども言いましたが、レーザー等の機器は皮膚の表面から数ミリのところまでしか影響しません。深部までは届かないため、骨の変形や萎縮などの治療には向かないんです。顔面の骨の老化などに対しては、今の機器では出せる結果に限界がある。

塩谷 機器の進化は行きつくところまで行ったと?

宮田 そんな印象がありますが、でも、これで止まるかというと、天才的な人がポンと新しい物を出してきたりしますから、それもメカの面白いところです。

メディアの力が強くなりすぎた

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塩谷 美容医療に従事されていて、最近、問題視していることはありますか?

宮田 広く一般にという意味では、最近はメディアの力が強くなりすぎたと感じています。世の中には、確かな情報だけが発信されているわけではありません。患者だけでなく、美容医療に携わる医師までも惑わされているような印象です。医師の知識や技術が不足しているがゆえに、トラブルに発展するというケースもあるのではと思っています。

塩谷 美容医療に使われる様々な機器は、医師免許があれば誰でも購入することができます。使う医師側も確かな情報を見極めて、しっかりと学ぶ必要がありますね。

宮田 そうですね。実はいま、その問題を少しでも解消するべく、何人かの医師と共同で、美容医療のいろはについて、医師向けの教科書を書いているところです。来年の半ばころにはなんとか形にしたいと思っています。

塩谷 同じ機器を使って同じように施術したら、誰がやっても同じ仕上がりになるわけではないですよね。

宮田 誰が使っても同じ結果になる施術もありますが、そうでないものが多いです。例えば、たるみ治療の施術で、同じ機器を使い、右半分と左半分を別の医師が行ったら、その時は同じように治療しているように見えても、数日後に左右差がはっきりと出てしまうほどです。

塩谷 それは、施術のコツというよりは、感覚ですね。

レーザー機器、海外のトレンドは

塩谷 先生は海外の学会へも積極的に参加されているんですよね。

宮田 はい。レーザー機器の世界的な流行と日本の流行は違います。美容医療が盛んなアメリカでは、ピコ秒レーザーがブーム。主に刺青をとるために使われています。ピコ秒レーザーは、薄いシミにも反応するので、その点では優れていますが、高額な上に適切な反応をする安全域が狭いため、機器の設定や操作法にはある程度の知識と経験を必要とするのが問題です。あと、痩身レーザーなどの脂肪をとる機器も多く発表されています。

塩谷 先生は、美しく年を重ねるために、美容医療の施術はどの程度必要だと思われますか。

宮田 本当に必要なのは、運動、食事、睡眠などの基本的なアンチエイジングだと思っています。美容医療は、基本がある程度できているうえでの治療。いわば、自分にとってのご褒美のような存在だと考えています。

塩谷 患者さんがそれで、前向きな気持ちになって明るくいきいきと過ごしてくれる、それが何よりの喜びですね。今日はありがとうございました。

医師・専門家が監修「Aging Style」

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