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インパクトファクターという妖怪

インパクトファクター、通称IFなるものが、医学界で跋扈(ばっこ)しています。
ちょうどテレビ業界の視聴率のように、論文の評価から医師の資質まで左右してきています。ということは教授選でもっとも幅を利かす存在ということです。

IFによって業績を客観的に評価(画像はイメージ)
IFによって業績を客観的に評価(画像はイメージ)

そもそもは、インパクトファクター(以下IF)は、ある医学雑誌に掲載された論文が、どのくらい他の雑誌に引用されるかという度合いを数値化したもので、どう調べ上げるかは別として、一企業が算出して発表しています。
学術誌の価値というか影響度の指標としては役に立ちますが、これはあくまで同じ分野内での比較で、分野を超えて比べることに全く意味はありません。 例えば編集長が専門としている形成外科の場合、一番大切な雑誌は『Plastic and Reconstructive Surgery(プラスティック・アンド・リコンストラクティブ・サージャリー)』誌(PRS)です。だが形成外科は本当に特殊分野で、IFは3〜4前後にすぎません。これをIF70の『Nature(ネイチャー)』と並べることはナンセンスです。

それでも医学部の教授選では、IFの絶対値の総計が一人歩きします。
なぜそうなるか。
それには教授選の仕組みが原因となってます。

通常教授選は教授会の投票で決まります。
まず、当該科に近い教授を含めた5、6名の教授の選考委員会が発足し、この選考委員会には当然ですが退任教授は入りません。つまり専門外の教授たちが選考することになります。ここで候補を3人ほどに絞り、順位をつけて教授会に提出します。
そして教授会の過半数取得した候補が教授に選ばれます。
医学部教授の3分の1から半数近くは基礎の教授です。彼らは臨床については全くの素人で、一方、研究者としては価値判断の基準はIFしかありません。
また、臨床教授の場合、臨床、教育、研究、の3本柱を評価するといっても、そのうち客観評価が可能なのは業績、つまり論文の数と質だけです。
これが臨床教授の世界でも、IF、インパクトファクターが幅を利かせる原因です。

[執筆/編集長 塩谷信幸
 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

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