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QOLの第三の輪。「社会との関わり」

QOLの三位一体
QOLの三位一体

QOLは「三つの輪」で支えられている。
まず「病気の予防」、そして自律と自立のための力「判断力と体力」、さらに「社会との関わり」の三つであるとは、以前に書いた
そのうち、「病気の予防」と「判断力と体力」は手段と言えるが、「社会との関わり」は手段であるが、また目的でもある。
これは社会という枠組みの中での高齢者の立ち位置の問題になるが、社会を形造るのは人であり、社会との関わりは人との交わりを意味する。それほど人との交わりは大事であり、人はそれなしには生きていけない。

幸い僕は人との付き合いが大好きで、友人、家族、、仕事仲間に限らず、毎日出会う誰それ、例えば駐車場の警備員やコンビニのおばさんと交わす二言、三言がその日の気分を支えてくれる。人との付き合いがなぜそれほど意義深いのだろうか。まずは「共感」という要素を取り上げよう。
"いい天気ですね"
"そう、いいですね"
という挨拶は、見知らぬ人とも自然に朝交わす。それで天気が変わるわけでもないが、何か晴れ晴れとしてくる。これが「共感」であり、コミューニケーションのご利益と言える。

友人との交流の楽しさも「共感」にあるのではなかろうか。
一緒にお茶するとき。何も格別は話題がなくとも、ただこれも俺も同感だと言うだけで親近感も増す。また一緒に旅をすれば、景観やご当地グルメなどを一緒に味合う喜び。趣味を同じうする者たちの◯◯同好会の楽しみはその延長線上にあり、高齢者のQOLを高めてくれる大切な仕組みの一つ。
そして、社会の最も小さな単位は家族ではなかろうか。そしてこれは血縁というボンドで固められている。そのために発生する軋轢を呪って、家族を貶めることが流行っているようだが、僕にとって家族はすべてである。もちろん楽しいことだけではない。色々な軋轢も味わっている。でもそれ全てが家族の恩恵と受け止めている。
アメリカの心理学者エリクソンは名著「老年期」の中で、孫と祖父母との関係を取り上げ、深い意義を与えている。
そして「どん尻に控えしは」夫婦である。これも最近は様相が変わり、結婚制度が崩壊しつつある。ペア文化が前提のアメリカでも、配偶者と言わずに同伴者となり、さらにはsignificant othersと呼び名が改まってきた。直訳すれば「重要な他者」だが、日本語で適当な訳語が見つからない。これをどう考えるか、現在進行中の課題である。とりあえずはパートナーと表現し、次回に検討したい。

[執筆/編集長 塩谷信幸
 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

この記事の監修・執筆医師

塩谷 信幸
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)

北里大学名誉教授
アンチエイジング医師団代表
NPO法人 アンチエイジングネットワーク理事長
NPO法人 創傷治癒センター理事長
医療法人社団 ウィメンズヘルスクリニック東京 名誉院長

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