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「ダメ。ゼッタイ。」薬物乱用防止キャンペーン 課題は「健康問題」としての取り組み強化

厚生労働省と各都道府県、麻薬・覚せい剤乱用防止センターは、毎年6月20日から7月19日までの1ヶ月間、「『ダメ。ゼッタイ。』普及運動」を実施している。薬物乱用問題の啓発と国連による世界的な「国際麻薬乱用撲滅デー」(毎年6月26日)の周知を目的として、1987年(昭和62年)から厚労省が中心となり展開しているキャンペーンだ。

「ダメ。ゼッタイ。」普及運動ポスター
「ダメ。ゼッタイ。」普及運動ポスター

厚労省が公表している薬物別の「生涯経験率」統計によると、各国で一番経験率の高い大麻の場合、アメリカ、カナダ、フランスでは40%を超える一方で日本においては1.4%。覚醒剤やコカインなど他の薬物でも日本における生涯経験率は主要な欧米諸国と比較すると極めて低い。

とはいえ、日本でも最近は10代~20代の若年層による大麻乱用問題が深刻化している。1990年代半ばから2010年代半ばまで、「合法ドラッグ」や「脱法ハーブ」などさまざまな名称で流行したいわゆる「危険ドラッグ」は近年の規制強化により問題が沈静化した一方、それと入れ替わるように大麻取締法事犯による検挙者が年々増加傾向にある。危険ドラッグの入手が困難になったことで、依存対象を大麻など他の薬物に乗り換えた元・危険ドラッグ常習者が多い可能性も懸念されている。

また、ほぼ1年おきに「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」を実施・公表している国立精神・神経医療研究センターの精神保健研究所の資料によると、近年乱用が認められる薬物関連精神疾患症例では、大麻だけでなく睡眠薬࣭や抗不安薬など市販薬によるものの割合が増加傾向あるという。

薬物乱用の実態は30年あまり前に「ダメ。ゼッタイ。」キャンペーンが始まった当時とは様変わりしている。薬物の乱用や取引に伴う犯罪が日本とは比較にならないほど深刻だった欧米諸国ではその間、薬物の問題への取り組みは犯罪問題としての比重が高かったが、近年は健康問題としての取り組みが加速している。一方、日本では薬物対策がいまだに供給の根絶に偏りがちで、医療対応も含めた需要側での対策が不十分だという指摘もある。今後は薬物依存症の予防や早期治療、患者を社会的に孤立させない取り組み、社会復帰を支援するための意識改革や仕組み作りがますます重要になるだろう。

医師・専門家が監修「Aging Style」

薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ
http://www.dapc.or.jp/

「現在の薬物乱用の状況」(平成30年8月3日現在/厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/torikumi/

「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」(2018年版)
(国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 薬物依存研究部)
https://www.ncnp.go.jp/nimh/yakubutsu/report/pdf/J_NMHS_2018.pdf

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