“How dare you! “(よくもそんなことを!)

"How dare you! "(よくもそんなことを!) 健康長寿で行こう!

先週はコミュニケーションについて何かと考えさせられるニュースが多かった。

“How dare you! “(よくもそんなことを!)

ニューヨークの国連本部「気候行動サミット」で大きな話題となった16歳のスウェーデン人少女の怒りのスピーチ。世界の大人たちへ向けた痛烈なメッセージを極めて効果的なコミュニケーション方法で発した。発言内容や伝え方、そして彼女の周囲にいる大人たちの存在など、気になる点がなかったわけではないが、地球温暖化問題に対する世間の関心度を一気に押し上げたことは素直に評価したい。

ただ、聞くところによると、地球温暖化による影響予測に関しては科学者たちの間でもいろいろと意見が分かれるようだ。日進月歩の医学・医療の世界でも新しい発見、学説、治療法などが次から次へと登場し、時には医学者たちの間で意見が分かれる。こう考えると、地球温暖化による影響について、少女が耳を傾けてほしいと訴えた「科学者の声」にどの程度のばらつきがあるのかは気になるところだ。

一方、まったく別のニュースだが、国内では同じく先週、厚生労働省が全国の公立・公的病院のうち再編や統合の議論を必要とする424の病院の名前を唐突に公表した。

「要再編」病院名の公表

厚労省は以前から各都道府県に再編の検討を促していたようだが、思うような進展が見られなかったのか、予告なしの病院名公表という強硬手段。同じ日に、昨年度の全国の医療費が高齢化の影響で過去最高の42兆6千億円になったとも発表した。厚労省としては国民に直接、危機感と納得感を植え付けるコミュニケーション戦略を選んだということだろう。

厚労省は地域の医療計画を作る立場にある各都道府県に対して、2020年9月末までに対応方針を決めた上で、2025年までに他の病院との統合や病床数削減などの対応を完了するように要請するそうだが、罰則規定や強制力が特にあるわけではないという。権限が各都道府県に委ねられていて罰則規定や強制力は無いとなると、実際にはどの程度の改革がどれほどのスピードで進むことになるのだろうか。

医師という職業柄、僕は医療制度や保険制度については平均的な人よりも知識があり敏感といっても良いだろう。だが、それにしても危機的といわれるこの分野における将来予測や対策・方針などに関する政府のコミュニケーションには僕でも理解できないことが多い。

今後、より危機的な状況に直面するかもしれない国民を患者に例えた場合、政府という医師は十分な患者コミュニケーションを取っているといえるのだろうか。

少なくとも国民という患者にはセカンドオピニオンを求める先は存在しない。手遅れになり国民が「How dare you! (よくもそんなことを!)」と叫ぶような事態にならないことを願う。

[執筆/編集長 塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

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