「人生100年時代」改め「人生百年時代」!

「人生100年時代」改め「人生百年時代」! 健康長寿で行こう!

早いもので今年も残すところ3日を切った。

今年は例年以上に1年が早く過ぎたように感じる。5月に季節外れの正月のような令和改元があったためだろうか。8ヶ月前に新時代の始まりを祝ったばかりで、また数日後には新たな年を祝うという、昔の数え年のような感覚だ。

数え年といえば、僕は今月88歳になったばかりだが、数え年なら3日後には90歳なる。昔だったら「90歳なのにお元気で」と言われていたかもしれないと考えると、世の中の年齢の数え方が数え年のままの方が少し得だった気がする。

今や数え年の話が出るのは厄年の話をする時ぐらいだろうか。国の制度としては、今から60年ほど前、僕が医学生になった頃に数え年から満年齢に移行したのだが、当時の狙いには興味深いものがある。

数え年から満年齢への移行で若返り?

一応おさらいをしておくと、数え年の場合、生まれた日を「1歳」として、以後は正月を迎える度に1年ずつ年を重ねる。昭和6年12月に生まれて「1歳」だった僕の場合、翌7年の元旦では実年齢でまだ生後1ヶ月弱だったが、数え年では2歳。88歳の今となっては2歳の差は大したことがないが、若いとき、特に子供の場合には大きな「誤差」になり得る。

実際、太平洋戦争後の食糧配給制度では、満年齢でカロリー計算をする一方で実際の配給は数え年にもとづいて行われていた。このため、たとえば離乳食も食べられないような乳児に菓子が配給されたり、逆に大人の場合は年齢によっては本来よりも配給量の少ない年齢層に分類されてしまうなど、チグハグなことが起きていた。当時は医学や栄養学に限らず国全体がマッカーサー司令官率いるGHQの監督のもと、今でいうグローバルスタンダードを取り入れながら大改造されていた時代。満年齢制度への移行も当然の流れだった。

これとは別に、数え年から満年齢に移行すると数字の上では「若返る」ため、国民の気持ちが全体的に明るくなるということが当時の国会で議論されたといわれる。「そんな馬鹿な」と思う人もいるかもしれないが、効果のない薬であっても、そうとは知らずに効果を信じることで時には症状が改善することがあるという「プラセボ(偽薬)効果」を踏まえると、あながち馬鹿な発想とも言い切れない。

「年齢なんて記号よ!」

もう10年以上前の話になるが、僕が代表を務めるアンチエイジング団体で、良い齢の重ね方をしている著名人として女優の夏木マリさんに賞を差し上げたことがあった。当時、彼女からいただいた手紙にはこんなくだりがある。

「これから若くはならない自分の体と歩いていくことは、もちろん健康でなければいけませんし、体が元気なら心も元気になれる。ま、年齢なんて記号よ!なんて言えたりもする訳です。」

全くもって仰せの通りだ。数え年であれ満年齢であれ、単なる記号だと言い切るだけの心と体の健康が一番だ。

この手紙については当時、僕のブログでも紹介したので興味のある方はご覧いただきたい。

 ●「年齢なんて記号よ!」
  https://shioya-antiaging.exblog.jp/7728820/

さて、最後になるが、今年も耳にタコができるほど「人生100年時代」というキャッチフレーズが飛び交った。元はといえば、長年、政府が実質的に放置してきた少子高齢化問題や社会保障問題の解決策として、海外のベストセラー本に便乗したコンセプトだ。その表記には「100年」とアラビア数字が使われていることにお気付きだろうか。

僕としては、政府の経済政策としてのキャッチフレーズではなく、個々人の健康意識のためのキャッチフレーズとして、敢えて漢数字の「百年」を使うことを提唱したい。

「人生100年時代」改め「人生百年時代」。お上に頼らず切り開いていこう!

[執筆/編集長 塩谷信幸 北里大学名誉教授、DAA(アンチエイジング医師団)代表]

医師・専門家が監修「Aging Style」

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